ラストワンマイル問題に取り組む世界のStartups
「ラストワンマイル問題」という問題が、物流業界に存在することをご存じだろうか。
今回はラストワンマイル問題について、またラストワンマイル問題を解決しようとしている世界中のスタータップについて紹介してゆく。
目次
1.ラストワンマイル問題とは
2.ラストワンマイル問題に取り組んでいる世界のスタータップ
3.Shyp
4.Doorman
1.ラストワンマイル問題とは
ラストワンマイルとは、主に通信業界で使われている言葉で、直訳すると「最後の1マイル」になる。最寄りの基地局から利用者の建物までを結ぶ、通信回線の最後の部分で物理的な長さではなく、通信事業者と利用者を結ぶ最後の区間という意味である。
昨今、通信業界だけではなく、物流業界においてもこのラストワンマイルをめぐる攻防がある。消費者が小売店で商品を購入し自宅に持って帰るという行為は、いわゆるセルフサービスにあたるが、自分の好きな時間に注文できて、自宅まで届けてもらえるネット通販が盛んになっているのも、このラストワンマイルを消費者にうまく提供しているからと言える。
また、ネット通販最大手であるAmazonが大型のフルフィルメントセンターをいくつも建設して、当日配達、翌日配達といった配送サービスを充実させるのも、このラストワンマイルを制するための動きだと言える。
2.ラストワンマイル問題に取り組んでいる世界のスタータップ
小売業界でも注目すべき分野となっているラストワンマイル問題には、世界中でも様々な企業が取り組んでいる。
不在配達をなくすことをモットーとしているサンフランシスコのDoorman、世界初となる宅配物を車へ配達するサービスを提供しているVolvo Cars、即日配送を行うために物流倉庫を構築しているユニクロ、ドローンを使用しているAmazonのPrime Air等が代表的である。
3.Shyp
その中でも今回は、いくつかのスタータップを取り上げたいと思う。まず、「Shyp」について。
「Shyp」は個人や企業向けに、商品の梱包から配送まで一貫したサービスを展開するサンフランシスコ発の物流スタートアップ。現時点ではサンフランシスコをはじめ、ロサンゼルス、ニューヨーク、マイアミ、シカゴにてサービスを提供している。
配送依頼はスマホアプリから商品の写真を撮影し、集荷先と配送先を指定するだけ。集荷の際に送りたい商品をそのまま渡すだけで、梱包から配送まで一貫して行ってくれる。配送先は世界中どこでも指定できる。
価格は基本料として20品ごとに5ドルかかるほか、配送料が別途発生する。FedExやUPSなどの複数の業者と提携しており、商品や配送先に応じて最も安い手段を提案してくれる仕組みだ。配送料は集荷後数時間で知らせる。
元eBay出品者でもあるCEOのケビン・ギボンによって2013年に設立された「Shyp」。配送業務にかかる時間と手間に不満を感じていた同氏は、出品者の悩みを解消するためにサービスを開始した。
4.Doorman
次に紹介するのは、「Better Package Delivery is Great For Ecommerce」を掲げるラストマイルロジスティクススタータップの、Doormanである。
消費者はEコマースサイトで買い物をし通常通り支払い手続きを行う。その際、商品配送先を自宅ではなく、Doorman集配所を指定する。商品は輸送会社によりDoorman集配所に配送され、ここからDoormanが自宅に配送する仕組みとなる。
Doorman集配所に商品が届くと、消費者のスマホにメッセージが送信され、Doormanからの配送スケジュールを設定する。このときに配達日と時間帯を指定する。配達時間は午後6時から深夜までで、二時間の枠で指定できる。(ただしゴールドメンバーになると一時間の枠で指定できる。)
配達時間は利用者の帰宅後の時間帯で、日中に家を留守にしている消費者を対象にしたサービスだ。休暇などで不在の時はDoormanは30日間無料で商品を預かる。同日配送するためには午後5:30までにスケジュールを行う。パッケージの大きさは40ポンド(約20キロ)までとなっている。
創始者のZander AdellとKappil Israniによると、Doormanの事業はUberのモデルを参考として作られたという。Adellは、「Uberの便利さを宅配サービスに応用する」と述べ、「大手企業の宅配サービスは”ルート最適化”で」効率化を追求しているが、消費者にとってのメリットは小さいと説明。Doormanは「”顧客最適化”を行い利便性を追求する」と、その構想を語った。